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by le-moraliste
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三島由紀夫『豊饒の海』に引き摺られるようにして

偶には書かないと。

年末に「そうだ、三島由紀夫を読もう」とふと思いついたのがきっかけで、実家で過ごした年末年始に『春の雪 豊饒の海(一)』を読み始めた。別に映画化されたから読んでいるのではありません(でもしかし、映画版の評価は低いようだけどそれは観ないわけにはいかない。だって映画だから)。

その前、三島を何年ぶりかに自分の頭に甦らせたところの三島自身のある言葉を偶然読んだのがそもそもの出来事。孫引き。出典不明。
子供のつくウソは、卑劣な、人を陥れるようなウソを除いては、大目に見る。子供のウソは、子供の夢と結びついているからである。
三島らしい文学的な言葉で、よくよく考えてみれば「夢」とつながる子供の「ウソ」に出会うことは少ないだろう。ある種の性善説が言葉の隙間から見えなくもない。けれど、その表現は見事である。文脈によっては(むしろこの部分だけを切り取ってみれば)美しい言葉になりうるものだ。子供が何かを隠そうとするとき、それを、大人の論理で片付けてはいけない場合がある。

それはともかく、『豊饒の海』四部作を読みたいと思う。いつものように遅々として進まないが、早く読み終えたい。現時点では第一部の最終盤あたりなのだけど、三島の饒舌だが晦渋な日本語の世界はいつもより控えめに感傷的、いつもよりもっと哲学的で、どうやら四部作に通じるテーマが輪廻転生であるらしいを知って(いや、知らなくはなかったが)、だいぶ以前に読んだ島田雅彦の『無限カノン』三部作がこの長編を参考にしていたのだなとようやく気づいたりもし(その三部作の第一部『彗星の住人』が先月文庫化されていたことを思い出す)、つまりは三島が最後の作品にどんな言葉を込めていたのかをようやく知ることができるだろうという期待が、本の1ページ1ページをめくるにつれて高まっていくのが、自分として嬉しい。

これで今同時に読んでいる本は何冊になっただろう。井上章一『夢と魅惑の全体主義』は昨日読み終えたばかりだけれど、村田晃嗣『プレイバック1980年代』と(部屋のどこに置いたのかすら覚えていない)粕谷一希『作家が死ぬと時代が変わる』、鐸木能光『デジカメ写真は撮ったまま使うな! ガバッと撮ってサクッと直す』、薬師院仁志『日本とフランス 二つの民主主義』(これも部屋を見回してもどこにあるのかわからない)。こんな感じだろうか。村田氏の本はもう読み終えるし、デジカメ写真の本は実用書だから拾い読みで十分。書きながら思い出したけどずいぶん探していた『東京R不動産』を先日渋谷のブックファーストで買ったから、それもすぐに読みたい。(と並べ続ければ、きりがないので中断。)また思い出したので追記。太宰治の『晩年』をも読んでいた。上着の内ポケットにずっと仕舞いっぱなしにかれこれ1年近くそこにあるもので、思い出したようにときどき読み進めているだけだから、まだ半分ちょいしか読み終わってなかろうと思われる。そうだ、太宰も、なぜか、読んでいたのだった。

要するに無茶苦茶な読書生活なわけで、仕事が始まれば時間が限られるだろうから、さてどうなるのだろう。(そう云えば雑誌『en-taxi』がA4版にリニューアルされたのも思い出した。その最新号の坪内祐三の評論は面白かった。村上春樹と小島信夫と大江健三郎、そしてフィッツジェラルドを詰め合わせた何か示唆的な一文。とまた脱線するわけで。)自分にとって良い生活を送るためには、何度も自分に云い聞かせている部屋の掃除が何よりも肝心である。引越しをしたい、引越しをしないともう収拾がつかないほどに荒れた住まいは、なにか、生活のすべてを毀しているのではないだろうかとようやくわかりはじめてきた。

勉強もしたい。WEB制作や写真補正の勉強、英語の勉強、政治の勉強、哲学の再検討などなど。でも、時間がないや。と諦めていては旧に復するので、今年は何とかするつもりである。(2007.1.16.一部修正)
by le-moraliste | 2007-01-09 00:06 |