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by le-moraliste
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60年安保当時、子どもたちの間には「戦記マンガ」が流行していた。夏目房之介氏はその原因について、技術に優れていた日本は資源の不足によって負けたと大方の日本人が考えていたと振り返り、こう述べる(『マンガと「戦争」』講談社現代新書)。

敗戦という事実をあえて技術的に考えることで、プライドを保とうとしたともいえる。今から考えれば、資源のない日本の技術立国による再生という、戦後の屈折したナショナリズムに裏打ちされたイメージが子どもたちの戦争観にも影響していたのかもしれない
この「屈折したナショナリズム」は赤軍派(革命左派と連合赤軍を結成)の若者たちにも共有されていた、と坪内祐三氏は指摘する。赤軍派の一兵士であった植垣康博は「赤軍派の建軍思想」にあった「硬派というきわめて日本的、右翼的な思想」が「後の共産主義化のなかで、前面に掲げられているのである」と書いている(『兵士たちの連合赤軍』彩流社)。

連合赤軍の若者たちは60年安保の頃に少年時代を迎えていたのだから、彼らも戦記マンガを読んだことがあるだろう(連合赤軍による浅間山荘事件はもちろん、1972年)。「反米愛国」を掲げる左翼青年たちの原点に戦記マンガ、あるいは右翼的な感情があったことは重要である。
そのことを、大正時代の教養主義の本質にマルクス主義があったことと比較すればおもしろい。教養主義にはまた、都市ブルジョアに対する農民的エートスのルサンチマンが渦巻いていた(竹内洋『教養主義の没落』中公新書)。教養主義のインテリ気質からすれば、意外にも思える仕組みである。

右翼と左翼、その系譜はけして単純なものではない。

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今夜のNHK教育の音楽番組、「N響アワー」(なんとも時代的な名前だ)でおもしろいものをみた。なんと、指揮者がピアノを演奏しているのだ。
いや、ピアニストが指揮者を兼ねている、と云ったほうがいいかもしれない。
その人は、アンドレ・プレヴィンと云い、番組ではモーツァルトの曲をオーケストラで演奏していた。

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政府専用機は2機しかないはず。数日前に天皇皇后両陛下が欧州を訪問されており、
今日、また小泉首相がロシアに向けて出発した。
危機管理のため、政府専用機は必ず2機同時に飛行するはずなのに。
今回は、どうやっているのだ?


【追記】
テレビで小泉首相が飛行機から降りてくる映像を見かけた。
後ろに移っていたのは、JALだった。たしか。
やはり国家元首の天皇陛下が優先的に政府専用機を利用されるのだ。
ちょっと、感慨深い。
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# by le-moraliste | 2005-05-08 23:10 |

カリオストロ伯爵

ちょっと古いが、『週刊文春』(2004年11月11日号)の連載、「私の読書日記」から。
リレー連載の今号は鹿島茂氏である。

晩年のタレーランはインタヴューに訪れたティエールに「アンシャン・レジームの生活を知らない人は、人生の本当の歓びを知ることはできない」と語ったという
その18世紀の「歓び」に耽溺していたのが、有名なカサノヴァと、その好敵手カリオストロ伯爵
カリオストロ伯爵の経歴がまたすごい。

ヨーロッパを股にかけ、あるときはフリーメイソンの至高の導師として絶大な信頼を勝ち得る一方、インチキ魔術師として非難されたいわくつきの怪人である
その彼の伝記が出た(といっても半年も前の書評なのだが)。イアン・マカルマン『最後の錬金術師』(草思社)。鹿島氏が「ロンドンでフリーメイソンに入会したことを契機にシチリアの小悪党バルサモは別人カリオストロ伯爵に生まれ変わる」と述べた後に続く本書からの引用が、とても魅力的な文章だ。

フリーメイソンは彼の天稟(てんぴん)を金に変える坩堝となったのだ。神学、儀式、修道会のキリスト教の教義、彼が子どもの頃に吸収したすべてのことが、あらゆる装飾とともに一つの制度のなかに注ぎ込まれていた。芸術家、俳優、振付師としての彼の一部が、メイソン風の壮麗なショーと芝居に興奮を感じた。彼の雄弁は聴衆を得た。そして、ロッジの陽気さが、彼に個性を生かす余地を与え、彼の要求を気にかけてくれる仲間を与えてくれたのである
この文からは、(フランスに限らない)アンシャン・レジーム、つまり有閑階級の制度とフリーメイソンの親和性を感じることができる。どちらも「ショーと芝居」であることが共通なのだ。メイソンの集会場であるロッジの聴衆、その陽気さ、そこで発揮される個性、仲間――そういった点は有閑階級の特徴でもあり、「ショーと芝居」を演じる貴族でもありかつメイソンでもあったカリオストロは、両者の領域に立場を置いた人物として興味深い。
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# by le-moraliste | 2005-05-08 13:48 | 雑誌
5日に行なわれた英下院総選挙で労働党(Labour)が勝利した。
勝利したとは云え、労働党が議席を減らしたことに注目がいっているが、
むしろ驚いたのは、選挙前の保守党(Conservative)の議席の少なさと、労働党の議席の多さだ。

選挙前(定数?)
労働党 408 保守党 160 自民党 54 その他 37

選挙後(定数646:過半数324)
労働党 355 保守党 197 自民党 62 その他 31 未確定 1

   (暫定値。その他、には正・副議長4人?含む。BBC参照)

選挙前、保守党が160議席しかなかったなんて!
それに比較して、労働党の強さが目立つ。また、自民党(Liberal Democrat)の伸張も気になるところ。
仮に次回選挙で保守党が大幅に伸ばすとすれば、リベラルの自民党と労働党で票を取り合うこととなり、いずれにせよ二大政党制も崩れていくという予想もできる。

【追記】
日本の前回衆院選で民主党が議席を増やし躍進したが、それでも政権をとるに至らなかったため、「民主党敗北」と云われたことを思い出した。そう考えると、英総選挙で労働党は政権を維持したのだから「勝利」なのであり、保守党は「敗北」したのだと考えられるが、報道では「労働党敗北・保守党勝利」と銘打たれている。
労働党は確かに党内左派の発言力を増加させたため、ブレア党首にとっては「敗北」である。しかし、党としては「勝利」になるはずだ。
また保守党はせいぜい40議席しか増やしておらず過半数には遠く及ばないのだから、「敗北」に他ならない。

では、なぜ日本の民主とは総選挙で「敗北」とされたのか。
それは、メディアにとって一方では(独り善がりの)期待を民主党が裏切ったから、他方では民主党不信(これは妥当)を具体化したから、両方の思惑によって「敗北」とされたのである。
英労働党の「勝利」と保守党の「敗北」という決裁が、いまのところ正確であるように思う。

昨年6月の地方議会選挙では、労働党が歴史的な敗北を喫し、保守党は低迷、自民党が躍進していたことを付記。

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仏紙リベラシオン記者、ピエール・アスキ氏が中国当局の監視の目をくぐって、中国のHIV蔓延実態を報告。
一億人の人口を抱える河南省では、省当局の発表によると感染者は数千人とされるが、実際は最大で200万人、少なくとも30万人にのぼるという。
感染拡大の原因は、血漿ビジネスのずさんな処理だとか。
単純計算すれば、13億人とされる人口に対して、最大2600万人の潜在的感染者がいることになる。これはおそらく、世界最大であろう。(沿岸部と内陸部では様子は全くことなるし、河南省という特殊性もあるから、実際はもっと低い。)
『産経新聞』記者、山口昌子氏記事参照)
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# by le-moraliste | 2005-05-07 16:09 | 新聞・ニュース
1972年当時の『週刊朝日』は「性教育」にどうやら批判的だったようだ。
今の安直なリベラル思考を考えると、当時の朝日には多少の「良識」があったか。
もっとも、性教育を教える教師や、それを教えられる親の困惑をもっぱら取り上げているのだが。

「良識」と云えば、「良識派」という言葉は最近聞かない。
1972年には「日本の良識」として曽野綾子今西錦司舟橋聖一手塚治虫赤塚不二夫らが挙げられている(それも『週刊文春』で、なので驚くと云えば驚くがそうでもないか)。
知識人というより、有名人か。
いま、「日本の良識」は誰になるだろうと考えてみると、これが全く思い当たらない。
個人的には当然誰だとは云えるけれども、
思い当たらないのは、日本人全体にとっての「良識」を考えるからだ。
ではなんでそうなるのだろう。
上記の人物が殆ど鬼籍に入っているように、いま、何か意見を訊くとき、日本人のおおよそが納得できる有名人がいない。
ということはつまり、いま、日本人がともかくその人の意見を訊いてみたいというような人がいないということだ。
それは、知識人の読者層が分裂しているからなのか、日本人の共通認識が崩れているからなのか、権威が失効しているからなのか――なかなか興味深い問題だ。
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# by le-moraliste | 2005-05-07 07:31 |