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by le-moraliste
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カテゴリ:新聞・ニュース( 28 )

サブプライム余話Ⅰ

【差し押さえ】・・・Forclosure

【ショートセール】・・・Short Sale
不動産において、住宅ローンの支払いができなくなった場合に、銀行が借り手と共同して融資残高より低い金額で住宅を売却し、借り手の負債を帳消しにすることを合意すること。借り手だけでなく、銀行側も一定の損失をだす。ただし、買い手が現れなければ住宅は差し押さえられ(所有権は銀行に)、借り手は破産と記録される。
株式に用いられる場合は、「空売り」の意味となる。
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by le-moraliste | 2008-06-24 14:06 | 新聞・ニュース
古い新聞を読んでいたら、宮澤喜一元首相の死去を報じる記事の中で、こんなものを見つけた。死去を受けての細川元首相の談話で、首相就任直後、首相しか知らないことの申し送りで2時間ばかり話した、とあった。

さて、首相しか知らないことの申し送り、とは何だろう。非常に気になる内容である。首相しか知らないのだから、一般には漏れることはないに違いない。でも非常に知りたい。日本にどれほどの国家機密があるのだと訝りたくなるけれど、知りたい。

そう云えばアメリカのトルーマン元大統領は、第二次大戦中、ルーズベルト前大統領が突然亡くなったあと副大統領から大統領に就任したさい、初めて原爆の投下計画があるのを知ったという。副大統領にも原爆計画を隠しておいたというのは不思議であるが、そこで初めて知ったトルーマンも、相当驚いたに違いない。どこの国のトップも、人には明かせない秘密を抱えながら仕事をしているのだろう。ましてや一国の最高機密となれば、そのプレッシャーは計り知れない。でも、私は知りたいのである。

【追記】
ネットで検索してみたら、田中秀征氏の文章を見つけた。「宮沢先生の思い出」と題するエッセイで、まさに、この宮澤・細川会談について触れている。田中氏はそれに同席していたそうだ。

長いので引用しないが、なるほど、やっぱり「日本の首相には引き継ぎを必要とする案件はない」んだそうだ。クリントン大統領との会談内容について、具体的には「「NPT条約」(核不拡散条約)の延長問題や日本の常任理事国入り問題についての重要な話」だったそうだが、確かに国家機密のようなものではない。でもその会談内容について、やっぱり知りたいなぁ。

            *          *          *

昨日の『産経新聞』(19.8.21.付)で、ムネオ問題で非難を浴びに浴びまくった元外務省官僚の東郷和彦氏が『北方領土交渉秘録』という本をだしたそうで、そのインタビューが掲載されていた。

その内容はどうでもいいのだが、ここで北方領土問題の歴史を簡単に確認していきたいので、メモ。


1945年8月9日   ソ連軍、満州侵入

1956年        日ソ共同宣言
               国交回復成立とともに、平和条約後の二島先行返還を約束

1993年        東京宣言
               四島帰属問題を法と正義の原則を基礎として解決すると宣言

1997年        クラスノヤルスク合意
               両国間で領土問題が存在することを明文化

2001年        イルクーツク声明
               日ソ共同宣言の確認

この半世紀、まるで進展していないことが、これだけでもわかる。私個人の見立てでは、永遠に返還は不可能であると思われる。
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by le-moraliste | 2007-08-22 03:47 | 新聞・ニュース
ここ数週間、さまざまな“アイデア”で我々の度肝を抜いてくれている中国の食料品問題であるが、ここでふと気づいたことがある。かつてアメリカ牛肉のBSE問題で頻りに輸入再開を拒んできた人々が、なぜか中国製品の全面輸入禁止を云い出さないのだ。

おそらく科学的にはBSEよりも昨今取り上げられる中国製品のほうがもっと人体への危険性が高く、なおかつアメリカの検査システムよりも中国の検査機関(とその報告)のほうが誰の目にもはるかに信用度の低いものであるにもかかわらず、だ。

中国製品が日本から根こそぎ消えてしまっては日本経済が成り立たない、と彼らが言い訳しそうな理由も一見、理解できそうなところがあるけど、米国産牛肉が輸入禁止になって一般消費者や企業がどれほど混乱をきたしたかを思い出せば、この理由はあてにならない。そもそも、米国産牛肉が日本の市場から消えてもそれほど大きな影響はないだろうという理屈で当時、輸入禁止を主張していたわけではないのだ。彼らの主張が大手を振っていたのは「食の安全」という絶対倫理のゆえだったのではないのか。

まさにその「安全」という絶対的偶像から、中国製品や中国産食料品は排除されるべき対象となるはずだ。しかしながら、現実にはそうなっていない。メディアを斜め読みできる多くの現代人たちは、そこに反米と(この語は好きではないが)媚中の論理が依然として活躍していることを、軽蔑の感情で眺めていることだろう。本当にバカバカしい。

ちなみに私としては、BSE問題はそんなに致命的な欠陥だとは思われなかったので消費者がそれぞれ判断すればよく、全面的に輸入を禁止するほどのことではなかったと思う。同じように、今回の件でも中国製品をすべて輸入禁止するほどのことでもないだろう、と考える。市場社会なのだから、最終的には消費者が責任をもてばいいだけの話である(もちろん国家の役割は必要だけど)。

         *          *          *

今日の新聞で大笑いしてしまった一文。参院選の街頭演説でのヒトコマで、写真のキャプションとして書かれていたもの。(『産経新聞』2007年7月15日付)
聴衆のカラフルな傘を見て小泉純一郎前首相は「赤、緑、白。傘もいろいろ、人生もいろいろだ」と街頭演説を展開した
どういう文脈でこの言葉を発したのか、まったく意味不明な内容だが、私が活字で読んで爆笑してしまうくらいだから、目の前で小泉前首相のこのセリフを聞いたらもう面白くて仕方ないだろう。元々の「人生いろいろ」発言が出現した文脈を考えると多少不謹慎に思えるが、そこは天才小泉氏、これをあえて聴衆の気分を盛り立てる道具に使ってしまう。しかも効果は抜群である。

まったく、稀有な政治家だと認めざるを得ない。小泉氏が日本の政治及び政治報道を変えたと云われるが、おそらくそれは、小泉氏にしかできない『政治』であるように思う。
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by le-moraliste | 2007-07-15 09:41 | 新聞・ニュース
新聞の読書欄を読んでいたら、こんな一文に出会った。
星新一が台湾の阿片利権を手にして大正時代に隆盛した大企業・星製薬の御曹司であり、森鴎外の姪の息子であることはよく知られている。(『産経新聞』2007年5月20日)
全然知らなかった。「御曹司」であることも、「森鴎外の姪の息子」であることも、全く知らなかった。知らないのは星新一の本を一冊も読んでないからかもしれないけれど、それでも森鴎外つながりで知りえるはずの情報だと思うのだが、鴎外の『渋江抽斎』を読むほどの私でも知らないっちゃあ、知らないか。

調べてみると、森鴎外の妹が小金井喜美子で、その娘の息子が星新一だとか。つまり、星新一からみれば、森鴎外は大伯父にあたるようだ。この小金井喜美子という女性もまた、有名な人らしい。明治期の著名な翻訳家、随筆家、歌人と書かれている。兄鴎外についての著作もあるようなので、これも注目である。

同じように気になったのが、星製薬のこと。ネットで検索してみても星製薬のサイトは見つからず、合併だか会社分割だかの断片情報しか手に入れられなかったので不明であるが、現在は存在していないようだ。それより、阿片の利権云々というところで思い出させる人物がもうひとりいる。同じく阿片を手段に旧満州帝国で暗躍した里見甫である。

佐野眞一『阿片王』という本でこの人物のことを知ったのだが、この本によれば里見は上海にも足を伸ばしていたはず。上海と台湾、距離はさほど離れていないのだから、同時代であることを考えてみれば、何らかの接点があったのではなかろうかと思わなくもない。『阿片王』には星新一の父・星一(星製薬創業者)のことについては触れられていなかったと思う。ちょっと、気になる。

余談――
ここ何回かの『週刊文春』がおかしい。今までは発見することさえ困難だった誤植や、下手な文章が散見されるのである。記事を新人が書いたからなのかもしれないが、チェックする人は必ずいるはずで、そのチェックが急に甘くなった印象を受ける。しばらく様子を見てみよう。
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by le-moraliste | 2007-05-22 00:36 | 新聞・ニュース

本のリスト

そういえばこんなニュースもあった。

札幌の本屋店主が中学生に読ませる本のリストを作ったとのこと。中学生が本を読まないのは、そういうものだとなんとなく一般に考えられていたため中学生が読む本のコーナーが店内にそもそもなかったからだとに気づいたのだとか。

そのリストは500冊の数に上っている。そこからネットニュースに紹介されているもの(50冊くらい?)の中で、自分が読んだことのある本を並べれば・・・。(特段、意味はないけれど。)

ミヒャエル・エンデ「モモ」
宗田理「ぼくらの七日間戦争」
中島義道「うるさい日本の私」
吉本ばなな「キッチン」

これだけ。少な。

でも、内田樹の「先生はえらい」という最近でた本もリストに加えられているが、こんな本、中学生が読むだろうか。いや、中学生が読んだところで彼らに理解できるだろうか、この本の語る意味。薄い読解力しかないのだから誤解しそうなものだ。(読んでないので確かなことは云えないが。)

それにしても。中学生に本のリストを配って、はたして実際、本を読む習慣がつくのだろうか。なかには幸福な中学生がいるかもしれない。だけど、自分がそうだったように、中学生時分、与えられた本は読むことなかったし、私が本を読み始めたのは、どうしても読みたいという相当に強い欲求があったからだった。もしかしたら、そのような欲求を喚起してくれる本があればいいのかもしれない。(矛盾しているが。)
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by le-moraliste | 2006-05-08 10:39 | 新聞・ニュース

「ユダの福音書」

先般、こんなニュースが報じられた。新約聖書には4つの福音書(イエスの言動の記録)が残されているが、新たにユダの福音書の写本が解読されたのだという。

新約聖書はイエス存命の時代に書かれたものではなく、またイエスの死後、すぐに書きまとめられたものでもない。数百年の時間をかけ、イエスの教えを信じる人々が様々な伝承を蒐集し、一冊の本として成ったものであることはよく知られている。

それは正典であるから、正典に記された゛事実″に齟齬をきたす事柄はすべて、偽として切り捨てられる。だから、今回解読された福音書に、新約聖書、あるいはイエスの神性を否定するような言葉が書き記されていようものなら、即座に、権威から否の烙印を押されるであろう。そして今回の発見は、まさに、そのような言葉が記されていたというのだ。

イエスが自らを十字架にかけるよう、ユダに陰謀をもちかけていた――。さて、キリスト教会、とりわけカトリックがどんなコメントを出すかが見ものである。

と、どこにでも書いてあるようなことをカタカタ打ったのは、これについての面白い文章を見つけたから。4月9日付『産経新聞』の「産経抄」を引用しよう。
キリストはすべての人の罪を背負い十字架にかけられることで人類を救った。復活はその証しである。キリスト教信者の多くはそう信じている。しかし、不信仰者からみると、ちょっと腑に落ちないこともあった。

現在、聖書に収められている四つの福音書によれば、キリストは弟子の一人であるユダによって金銭と引き換えに祭司長らに渡された。そこから十字架の受難が始まっている。とすると、たまたまユダの「裏切り」があったから人類の救済ができたのか、という気になってくるのだ。
イエスが何らかの業を背負い十字架による死を受け入れたとするなら、人類の罪を背負って命を絶ったと解釈できなくもない。けれど、イエスの死は、ユダの裏切りという「他者」がきっかけなのだ。難しく解釈して、ユダの裏切りもイエス、ひいては人間の弱さ=罪が招いたものなのだとも考えられなくもない。キリスト者たちはおそらくこう解釈するのだろう(この点、詳しくは知らない)。しかしながら、ユダの裏切りを偶然とみても必然とみても(そしてそれはどちらもそこそこに可能なのだ)、いずれにせよイエスの神性は毀損されない。

だが。イエスがユダの裏切りを画策していたとするならば話は別だ。それは、偶然でも必然でもない、故意という、イエスの神性を真っ向から否定してしまうイエスの人間性を露わにしてしまうだろう。だからこそ、キリスト者たちにはこの「ユダの福音書」は到底受け入れようもない。イエスは神の子ではくてはならないのだ。

これからの議論に注目である。
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by le-moraliste | 2006-04-11 00:46 | 新聞・ニュース

角川春樹と堀江貴文

父・源義が創業し当時斜陽にあった角川書店に昭和40年、入社した角川春樹は、立て続けのベストセラーや映画製作の成功で会社を完全に蘇生させた。だが、平成5年8月、角川はコカイン密輸容疑で逮捕される。そして最高裁判決で懲役4年の実刑判決を受けたのち、平成13年に収監された。

平成16年4月8日に刑務所から出所した角川は、再び映画製作に取り掛かる。それが『男たちの大和』であった。1月29日付の『産経新聞』で『男たちの大和』のインタヴューに角川は応じた。記事はこのように締めくくられている。
堀江貴文から今年に入って、共通の知人を通じ「会いたい」という連絡があった。映画製作に関する件だったという。堀江の生き方は否定するが、もし彼が生まれ変わって出てくるのなら、会ってやりたいと思っている。

「時代の寵児なんていわれると、あるとき現実が見えなくなる。私もそうだった。たぶん彼は何もかも失うでしょう。無一文になる。結構じゃないか。そこから彼の本当の人生が始まる。そのとき私を訪ねてきたら、親身になって相談に乗ってあげようと思う」
私も、無一文となって戻ってきた堀江貴文をこうした視線で眺めてみたいと思う。あの、常人にはないヴァイタリティを発揮できる堀江貴文には、好悪の感情は別として、関心があり続けるのだ。少なくとも、テレビで堀江が話す場面を観た私は、彼の頭の鋭さ、観点の独自性に驚きはしたのだ。手段は姑息であろうとも、論理の明晰さは誰にでも持ちえるものではあるまい。
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by le-moraliste | 2006-01-29 21:21 | 新聞・ニュース
*今日はいくつかニュースがあった。個人的なもの、世間的なものを含めて。

*昼頃に起きてネットでニュースをチェックしていたら目に飛び込んできた「本田美奈子、白血病で死去」の文字。特段、私は本田美奈子のファンというわけではないのだが、「白血病」という言葉が怖ろしい。

*昔、10年前くらいだろうか、著者名は忘れたが『別離』という本を読んだことがある。白血病の著者の自伝であった。その女性は厳しい闘病生活のあと残念にも死を迎えることになったのだが、骨髄液の移植がこの日本でいかに困難であるか――それを知ったものである。

*だからといってドナー登録をしたわけでもない不肖・私であるが、最近、白血病と闘った経験のある女性を間近に見ていて、医学の進歩・ドナー登録の増加によってなんとか健康を取り戻した(と云っても油断はできない状態であることには変わりない)彼女はとても幸運なのかもしれない。本田美奈子はまだ30代後半の年齢。若いし、悲しむべきことである。

*いいニュースもあった。将棋のプロ編入試験を受けていた瀬川晶司氏が見事、ノルマの3勝をあげてプロ棋士として活躍できることとなった。仄聞するかぎりでは、瀬川氏の棋力はプロ棋士の中に位置づければ中の下あたりのようで、将来、タイトル戦を争うことにはならないのだろうけれど、一度諦めざるを得なかったプロへの道をアマチュアとしても弛まず研究しつづけて(一時はやはり将棋から全く離れていたようだけれどそれをも含めて)、実際にプロを破り(八百長疑惑は無視していいだろう)合格を果たしたことを素直に喜びたい。力ある者へ、チャンスは開かれてあるべきだろう。

*今日最大のニュースは、なんといっても、グレアム・スウィフト『最後の注文』(新潮社)の発刊! と云っても実際に店頭に並んだのはずっと前のことなんだろうけれど、今日、池袋のリブロに久しぶりに寄ったときに見つけた。

*数年前に読んだスウィフトの『ウォーターランド』(新潮社)が傑作で、スウィフトの次回邦訳は〝Last Orders″と聞いていた。当時の私は血気にはやって洋書原本のそれを買い、さすがに英語の小説はきつくて数ページで断念したまま放置していたが、ようやく邦訳がでたのだ。その間、4年以上あったのではないだろうか。長い長い期待だった。この小説は、すぐに読むつもり。ただし目下使用中の村上春樹『象の消滅』(新潮社)を読み終えたときに。(すべて新潮社ではないか。)

*で、昨日最大のニュース。というより、今年最大のニュースかもしれない松本清張原作の映画『砂の器』丹波哲郎主演)。それを昨日DVDで観た。もう最高作品。日本映画で最も感動した映画である。恥ずかしながら清張の原作小説はまだ読んでおらず、評判の高さだけを何度も聞くだけだった『砂の器』。評判以上の名作であろう(未読だけれど)。

*映画で涙したのは『北京ヴァイオリン』以来だが、この2作品に符合しているのは「音楽」。映画中のひとつのエッセンスになっているのが、単にBGMであるだけでなく、物語のテーマとしての音楽である。貧しさから音楽で生きようとした主人公の人生も共通している。もうひとつの符合が「親子」。しかも父と子(ツルゲーネフとは意味が違って)。私はどうも、子を思う父と、その父の気持ちに相半ばする感情を抱く息子の物語に弱い。あまりに弱い。そこに叙情的な音楽がかぶさると、もう無抵抗である。

*というわけで清張の原作を読もうと思ったが、スウィフトの『最後の注文』を手に入れてしまったので、まずはそれを読もう。いや、春樹の小説を読んでから。
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by le-moraliste | 2005-11-07 00:23 | 新聞・ニュース
昨日の『産経新聞』に興味深い調査結果が掲載されていた。それまで民主党支持だった人が自民党支持に鞍替えした時期。過半数が解散直後だというのだ。

また、今回の選挙では自民民主の得票数は議席に表われているほど大差ではなくて、各種世論調査の結果を見てみるといわゆる無党派層の動向がわずかに動いたことが結果に大きく影響を与えたわかっている。その゛わずか″を勝ち得たもの、そして民主党から自民党へ支持をスライドさせたものが、あの、小泉首相の解散劇だと云えよう。

安易に考えてはいけないことだが、それがすべてではない。両党のマニフェスト(ただしメディアで脚色されたマニフェストの内容)の差、メディアの報道姿勢、各候補者の努力が選挙の礎にある。それらをもってしても、小泉首相一人には敵わなかったということである。

これは選挙というものの大きな変質を意味するだろう。従来の組織選挙は遠く背景に退き(創価学会を除く)、政党の宣伝効果や党首のパーソナリティに大きく依存した「視線」の選挙である(小泉首相が誕生してからそれは現実化していたことを忘れてはならないが)。有権者の好奇的「視線」をいかにひきつけるか――おそらくそれこそが選挙に勝つ決定的要因となったのだ。

「総論その1」では主にメディアの効果について書き残したが、メディアの力さえ及ばない領域に突入したことには変わりがない。有権者はメディアを素通りして、党首の姿を追いかけている。そういう時代になったとき(おそらく不可逆的だ)、政治家には何が必要となるだろう。

政権与党の政治家は党(首)の宣伝効果を損ねないように、実は、選挙に対して焦燥感を常に感じ続けることになるだろう。過失を見破られれば、勝利は一瞬にして相手に転びかねないからだ。そのような緊張感は、日本の戦後政治におそろしく不足していたものだ。パフォーマンス選挙になったら政治が劇場化してしまうと懸念する向きがあるが、劇場には必ず観客の「視線」があり、客の入りは劇場の存続を左右してしまう。そして舞台の裏には、思索の場としての楽屋が設えられている。舞台と楽屋の峻別は、政治家たちに大いなる劇を演出させる条件となるはずだ。

人間そのものが劇を演じている以上、政治に劇を求めても不条理なことではあるまい。客という冷徹な存在を意識できることは、政治にとって、むしろプラスに働くであろうと私は思う。
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by le-moraliste | 2005-09-21 00:41 | 新聞・ニュース
もう昔の話だが、総選挙の結果の話。解散当初は民主党の勝利を予想していた私は、恥じるばかりである。これほど自民党が勢力を伸ばすとは、まったく考えてもいなかった。選挙戦が始まってからはその予感も薄れていったが、それでも大幅な議席増は見込んでいなかった。

それは、いわゆる「風」の恐ろしさであった。その「風」を作り出した小泉自民党は流石であるし、それに対応できなかった民主党に強い虚しさが広がるばかりである。だが、巷間云われるようなメディアの自民党寄り報道が「風」を作ったのではない。もちろん、愚かしいコメンテーターがため息混じりにつぶやく、若者の右傾化が原因でもない。日本の若者は中国人を差別しないし、中国大使館に石を投げるわけでもない。将来の不安が彼らをして、小泉首相の大言壮語に喝采を浴びせさせただなんて意見は、無視してよい。

本当の理由は、メディアにこそあった。メディアは「刺客」と銘打って自民党の新人候補に色をつけ、はやしたて、遊んでいた。小泉首相が靖国参拝にこだわるから中韓との関係がめちゃくちゃになったと云い続けた。そのいかがわしさが、逆に、彼ら候補への支持をたくましくしてしまったのではないか。メディアが小泉内閣の4年間をボロボロに切り捨てることで、逆に「ボロボロだった4年間を、反対派のいなくなった今度こそ小泉首相は取り戻してくれる」「いつも首相の足をひっぱってるのはメディアじゃないのか」「メディアが批判しているのだから、むしろよかったんじゃないか」などという方向に意見が傾いたのも事実だろう。

自民党が大勝して与党が衆院の3分の2を占めるようになって、たまぞろ「首相の独裁が心配だ」と批判をし始める。負けていたらここぞとばかりに自民党をバカにしていただろう。選挙に勝って何が悪いのだ? 民主主義の大原則=民意の反映=がもたらしたものだろうに、自分たちの気にくわない結果だからといってそこまで否定的に考える必要もなかろう。じゃあ、民主党が過半数を大きく超えていたら、どう反応したというのだろう。およそ批判のための批判しかメディアがしないことは(同様に、持ち上げるために持ち上げる報道も少なくない)、もうみんなわかっているのである。自分たち(メディア)の意図が逆にとられる時代になったのである。

私は自民党の勝利を喜んでいるわけではないが、こうなったものは仕方ない。自民党にとっては安定した政権運営により、国家的課題に取り組む余裕も生まれようし、また民主党にとっても党の支離滅裂を抜本的に修正する大きな機会である(実際、前原氏が代表となった)。結果責任は投票した我々国民にあるということをわきまえて、政治を眺めていけばいいだろう。
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by le-moraliste | 2005-09-19 00:14 | 新聞・ニュース