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by le-moraliste
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で、結局優先株って得はないの?――『週刊文春』

今週の『週刊文春』(6/7号)を読んでのメモ。

※気になっていた文春の文章劣化問題。今号ではすっかり直っていた。いったい、何があったというのだろう。

※中国の地方政府の恐るべき腐敗ぶりが紹介されている記事で、その恐ろしさを知らしめるあり得ない事実が書いてあった。なんでも、地方政府の腐敗がどうしようもないので中央政府に直接、陳情しに行こうとした市民を、中央に罰せられるのを怖れた役人たちが抹殺したという事件があったらしい。腐敗なんてもんじゃない。悪魔的人間たちが彼の国に棲んでいる。そして彼らを育てたのは紛れもなく、歴代の中央の共産党指導部である。

※猪瀬直樹氏のエッセイに、森鴎外が晩年気にかけていたのが元号についてだったことを知った。その遺志が、実際に「昭和」という元号の成立に少なからずかかわっているらしい。すなわち、鴎外の晩年の日記を代筆した宮内省役人の吉田増蔵が「昭和」という元号を作ったのである。この吉田増蔵は昭和16年12月8日の(そう、あの日である)「米国及び英国に対する宣戦の詔書」の起草にも関わりをもった、という。

鴎外は「明治」や「大正」という元号の不適切さに不満をもっていたようで、なんとか次の元号こそは相応しいものであるべきだと研究していた。そこで軍を退官後、宮内省に勤めはじめる。そこで出会ったのが、漢学の素養豊富な吉田だった。鴎外のこの執念についてもっと知りたいと思うのであるが、それを取り上げている、猪瀬氏が当エッセイで(何度も)紹介している(いつものことだ)自著『天皇の影法師』を、どうしても買って読む気にならないのはなぜだろう(これもいつものことだ)。ちなみに、「平成」の年号を考案したとされるのは陽明学者の安岡正篤(まさひろ)で、細木数子の占星学の師匠である。

※今週の土屋賢二教授のエッセイは抱腹絶倒もの。読むべし。

※宮崎哲弥が低俗雑誌『AERA』(の山田厚史)を罵倒。なるほどもっともだが、それより先日の新聞の「安倍日誌」に、森元首相、安倍首相とともに料亭かどこかで会合をもったことが書かれていた。「森の清談」の続編なのか、はたまた別の企画でもあるのか。気になるところではある。

※今週の「私の読書日記」は愛すべき鹿島茂教授。鹿島氏が最初に紹介している、ティム・バークス『メディチ・マネー』(白水社)があまりに面白そうだ。やはり、この人は文章がうまい。読んだ人を本当に読みたい気にさせる。利子で稼ぐこと(つまり銀行稼業)が悪とされるキリスト教社会において、いかにして利ザヤを得るかを考えたメディチ家。それを聞いただけで、本書を読みたくさせる。というか、読もう(猪瀬氏との明らかなギャップ)。

※JALが2000億円の増資救済策を銀行に要請したという記事。その方法はDES(Duty Equity Swap)というもので、債務を株式に転換することを云うらしい。借り入れの一部を議決権のない優先株(どういうことだろう?)に転換させれば、債務者(JAL)は利払いをしなくていい反面、金融機関にとっては株の保有というリスクが生じる。ここであるメガバンクの中堅幹部が語っている内容がよくわからない。

「優先株に切り替えた分で、債務超過を穴埋めするのです。だから、切り替えた株の資産価値はゼロです」。前半はわかるが、後半がどうも判然としない。優先株といっても株なのだから、資産的価値としてある程度は意味があるのではないか。こんど調べてみよう。

また「JALは自己資本に比べ借入金が多すぎ云々」と書かれているので、ANAと比較した上で調べてみた。(ともに昨期の数字。決算報告書参考)

      自己資本       借入金(有利子負債残高)  比率
JAL    1,480億円      12,364億円         11%
ANA    3,982億円      7,494億円          53%

素人の参照方法なのでこれで正しいかどうかわからないけども、この単純な計算でも明らかに借入大幅超過。どうやって再建するのだろう、JAL。
by le-moraliste | 2007-06-03 03:12 | 雑誌