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by le-moraliste
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本田美奈子から瀬川、スウィフト、清張まで

*今日はいくつかニュースがあった。個人的なもの、世間的なものを含めて。

*昼頃に起きてネットでニュースをチェックしていたら目に飛び込んできた「本田美奈子、白血病で死去」の文字。特段、私は本田美奈子のファンというわけではないのだが、「白血病」という言葉が怖ろしい。

*昔、10年前くらいだろうか、著者名は忘れたが『別離』という本を読んだことがある。白血病の著者の自伝であった。その女性は厳しい闘病生活のあと残念にも死を迎えることになったのだが、骨髄液の移植がこの日本でいかに困難であるか――それを知ったものである。

*だからといってドナー登録をしたわけでもない不肖・私であるが、最近、白血病と闘った経験のある女性を間近に見ていて、医学の進歩・ドナー登録の増加によってなんとか健康を取り戻した(と云っても油断はできない状態であることには変わりない)彼女はとても幸運なのかもしれない。本田美奈子はまだ30代後半の年齢。若いし、悲しむべきことである。

*いいニュースもあった。将棋のプロ編入試験を受けていた瀬川晶司氏が見事、ノルマの3勝をあげてプロ棋士として活躍できることとなった。仄聞するかぎりでは、瀬川氏の棋力はプロ棋士の中に位置づければ中の下あたりのようで、将来、タイトル戦を争うことにはならないのだろうけれど、一度諦めざるを得なかったプロへの道をアマチュアとしても弛まず研究しつづけて(一時はやはり将棋から全く離れていたようだけれどそれをも含めて)、実際にプロを破り(八百長疑惑は無視していいだろう)合格を果たしたことを素直に喜びたい。力ある者へ、チャンスは開かれてあるべきだろう。

*今日最大のニュースは、なんといっても、グレアム・スウィフト『最後の注文』(新潮社)の発刊! と云っても実際に店頭に並んだのはずっと前のことなんだろうけれど、今日、池袋のリブロに久しぶりに寄ったときに見つけた。

*数年前に読んだスウィフトの『ウォーターランド』(新潮社)が傑作で、スウィフトの次回邦訳は〝Last Orders″と聞いていた。当時の私は血気にはやって洋書原本のそれを買い、さすがに英語の小説はきつくて数ページで断念したまま放置していたが、ようやく邦訳がでたのだ。その間、4年以上あったのではないだろうか。長い長い期待だった。この小説は、すぐに読むつもり。ただし目下使用中の村上春樹『象の消滅』(新潮社)を読み終えたときに。(すべて新潮社ではないか。)

*で、昨日最大のニュース。というより、今年最大のニュースかもしれない松本清張原作の映画『砂の器』丹波哲郎主演)。それを昨日DVDで観た。もう最高作品。日本映画で最も感動した映画である。恥ずかしながら清張の原作小説はまだ読んでおらず、評判の高さだけを何度も聞くだけだった『砂の器』。評判以上の名作であろう(未読だけれど)。

*映画で涙したのは『北京ヴァイオリン』以来だが、この2作品に符合しているのは「音楽」。映画中のひとつのエッセンスになっているのが、単にBGMであるだけでなく、物語のテーマとしての音楽である。貧しさから音楽で生きようとした主人公の人生も共通している。もうひとつの符合が「親子」。しかも父と子(ツルゲーネフとは意味が違って)。私はどうも、子を思う父と、その父の気持ちに相半ばする感情を抱く息子の物語に弱い。あまりに弱い。そこに叙情的な音楽がかぶさると、もう無抵抗である。

*というわけで清張の原作を読もうと思ったが、スウィフトの『最後の注文』を手に入れてしまったので、まずはそれを読もう。いや、春樹の小説を読んでから。
by le-moraliste | 2005-11-07 00:23 | 新聞・ニュース