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by le-moraliste
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多士済々――もうひとりの中国人学者

過日取り上げたふたりの中国人に、もうひとり、強力なメンバーを連ねよう。中国人民解放軍国防大学の教授をつとめる、朱成虎少将。

外国人記者との会見で語ったというその発言は、「米国が中国領内の標的にミサイルや精密誘導弾を発射してきた場合、われわれは核兵器で対抗しなくてはならないだろう」というものだ。個人的見解としているが、中国に何の裏付けもない「個人的見解」などありはしない。軍部の意見を代弁したものだろう。

問題はこの「領内の標的」に中国の艦船や航空機も含まれることだ(本人がそう云っている)。そして、もちろん、「領内」には台湾も含んでいる。中台衝突の際に米国が介入するのを牽制しているわけだ。だが、「中国は西安以東のすべての都市が破壊されることを覚悟する」と明言されては、問題はさらに困難を極める。民主主義国には不可能な、独裁体制特有の発想である。無論、このような発言内容は中国国民には伝えられないだろう。こうなっては、米国も単なる脅しとは受け止められないのではないか。一層の対策が望まれる。

中国当局者が中台衝突においての核使用を言及したのは初めてではないと云う。公式には核の先制使用は否定しているらしいが、あくまで「先制」使用なので、この場合は当てはまらない。また中国から面白い人物がでてきたようだ。(ソースは7月16日付『産経新聞』


【追記】
上の情報を報道したのは『ファイナンシャル・タイムズ』(アジア版)ということなので、そのHPを見てみた。すると続報があった。やはり、方々で結構話題になっているようだ。

「Beijing plays down general's threats」(北京は少将の云う脅威を問題視していない)と題するその記事によれば、中国外務省は朱少将の意見はあくまで個人的見解であり少数派の意見だとし、核兵器の先制攻撃は政府の戦略にはないと弁解している。これは予想通りだ。改めて「先制」攻撃はしないと云っているだけにすぎない。(追記。この記事のタイトルにはふたつの意味があるのかもしれない。ひとつは米国の介入。もうひとつは少将の脅し―中国は報復する―は゛個人的見解″なのだから政府は無関係というもの。云うまでもなく、中国政府の公式発言は建前にすぎない。真意は少将の言葉にあることは誰にでもわかる。=7.19.)

台湾では朱発言に非難の声があがっているようだ。また米国の警戒する意見が紹介されている。マイケル・オハンロン氏は「朱発言は無視できない現実」と前置きして、米国が台湾における中国の主権を認めていることを根拠に中国政府は米国の介入を問題視していないと述べている。だが中台衝突が起きれば、米国は必ず介入するであろう。つまり、中国政府よりも軍の方が直接に米中の軍事衝突の可能性に直面しようとしているわけだ。

記事の最後に、現在中国が所有する核能力では米国本土に多大な被害を与えることは無理であることが指摘されている。ただし、15年後はわからないが、と。(追記・同日)
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by le-moraliste | 2005-07-16 12:59 | 新聞・ニュース